糖尿病の治療の目標は、まず血糖コントロールを良好に保つことです。 HbA1cを7.0以下に保っていれば、糖尿病の合併症は進まないことが知られています。 そのために、食事療法・運動療法・薬物療法 が治療の三本柱となります。 他の病気(肺炎・気管支炎など)の場合、これを治すためには、“くすり”が最も重要で、薬があなたを治療してくれます。 しかし、糖尿病の治療においては、くすりはあまり重要ではありません。 食事療法・運動療法をおろそかにしては、くすりをいくらのんでも、糖尿病は良くなりません。
■食事療法
日常生活に必要な適正量に食事のカロリー制限をします。 これまで、摂りすぎていた余分な食事量を減らすことが大切です。 まず、糖尿病の基礎知識のところで述べたように、あなたの身長にあった標準体重を計算します。
標準体重 (kg)=22×身長(m)×身長(m)
この標準体重に約25~30をかけ、あなたの摂取カロリーを主治医が計算します。 あなたの年齢や運動量などでその量は違ってきます。 糖尿病では 80カロリーを1単位 と言います。例えば1600カロリーは20単位となります。 家族の方達にとっても、糖尿病食は健康食なのです。
■運動療法
運動すれば直接、血液中の糖分が消費されてエネルギーにかわるため血糖値が下がります。 また、運動によって体脂肪をへらし筋肉を強くすることでインスリンの働き(インスリン感受性)がよくなり、血糖コントロールが簡単になります。 尚、運動療法は、毎日続けられる運動が勧められます。 なぜなら、運動した日は血糖が下がり、運動しない日は血糖が上がってしまうからです。 毎日一定量の運動をして血糖を適正に保つためには、もっとも簡単な運動“歩くこと”が勧められています。 万歩計をつけて、血糖の上がりやすい食後に散歩してください。
■薬物療法
食事療法・運動療法だけではどうしても、食前血糖140以下・食後2時間血糖200以下が達成できない場合には、薬を飲むことになります。薬についての詳しい説明は、後で述べます。