生活習慣病にかからないようにするためには、まず第1に食習慣を自ら点検し、悪い点を改める必要があります。 食習慣は様々で一人一人それぞれの好みがあり、食べる量や質のほか、食事時間も異なるので一律に標準を示すことはできません。 したがってここでは要点だけをあげておきます。
まず、食べ過ぎの戒め、第2に偏食の戒め、そして第3には不規則な食事の摂り方の戒め、これら3点です。
食べ過ぎは、食べ物の種類を問わず、1日に摂る総エネルギー量が体が費すエネルギー量を超えていれば、余剰のエネルギーは体脂肪の合成に使われ、脂肪が蓄積し肥満となります。 内臓脂肪が多くなるとインスリン抵抗性が生じ、糖尿病になりやすくなります。 またいろいろの食事に含まれる食塩量も総量として多くなるだけでなく、高インスリン血症の状態ではナトリウムが腎臓で血液側に再吸収されやすく高血圧が発症してきます。 同様に体に蓄積される脂肪が多くなると、高脂血症,肥満,高血圧,糖代謝障害(糖尿病)と動脈硬化症の、いわゆる“危険因子”が揃ってきます。
第2に大切なことは、偏食を避けることです。 偏食とは単に食べ物の好き嫌いというより、食事の質が偏りすぎている場合を指しています。 ヒトが健康な体を維持していくためには、糖質・たんぱく質・脂質の三大栄養をバランスよくとり、各種のビタミン、ミネラル、重金属を含んだ食品を調理に配分する必要があります。 長い間、極端な偏食を続けていた学生がビタミンB1不足で脚気症状を起こしたり、やせ願望のため極端な超低カロリー食しか摂らなかったために起こる口角炎(ビタミンB6欠乏症)、無月経は、今日でも時々みうけられます。
日本人、特に若い世代のヒトたちは近年、米食減少、魚類たんぱくから動物たんぱく(ウシ・ブタなど)の食事パターンに移行していることが懸念されています。 このような食事パターンは勢い食物線維摂取量の減少を招きアテローム硬化症を発症・進展させ、また乳がんや大腸がんを発症させ易い原因をつくることになります。 魚の摂取、魚食品によるn-3系多価不飽和脂肪酸の栄養補給(毎週最低2回の脂肪の多い魚料理)は、心血管系疾患の予防に有益であることが報告されています。