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2022年度の外来総数は69,356 件、うち、初診は6,883件でした。
内科は令和元年度より通信情報機器を使用したオンライン診療も導入し、毎月来院することが困難な方の診療をサポートしています。
「血浄」は血液浄化センターの略で、人工透析などを行っています。人工透析は定期的に行う必要があり、旅行時は滞在先での人工透析が必要となるため、随時受け入れを行っています。
健診は市町村が行っている検診や、就職時などの一般的な健康診断を指します。毎年1,000名を超える患者さんが受診されています。
令和3年5月より、各診療科ごとに行っていた訪問診療を「在宅医療科」として一つの診療科に集約し、地域の在宅医療を病院全体で取り組む体制を整えました。
新型コロナウイルスについて、これまでは発熱外来や電話再診による処方など感染症対策に取り組んでいました。現在は終息とは言えず、また新たな株も発見されている状況です。2類感染症から5類感染症に移行となったため、電話再診による処方は終了となりましたが、患者さんが安心して受診できるよう、職員一同取り組んでおります。
2022年度退院患者を年齢別男女別、合計であらわしました。男女ともに日本人の平均寿命(男性81.47歳、女性87.57歳、2022年7月厚生労働省発表)を超えると減少傾向になっています。
男女ともに40歳から患者数は増加傾向となり、男性は70歳から79歳、女性は80歳から89歳がピークとなっています。79歳までは男性のほうが多いものの、80歳からは逆転し、90歳以上では女性は男性のおよそ2倍となります。
過去5年間の退院患者数と平均在院日数です。
男女比は大きな変動はありません。男性1,135件(54.7%)、女性941(45.8%)で、日本の男女比(男性48.6%、女性51.4%)と逆になります。
外科は2019年度より女性がやや長期傾向となっていましたが、2021年度は男女差がなく、全体を通して性別による治療方針の差がないことがうかがえます。2022年度は女性の在院日数が短縮化しており、乳癌の手術目的の短期入院が増加したためとなります。
整形外科は全体的に長期傾向ではありますが、2019年度より短縮傾向となり、特に男性で短縮化されています。比較的低浸潤である関節鏡手術の割合が多くなったことが考えられます。女性の入院期間が長期化しているのは大腿骨骨折による手術症例の増加が要因となっています。
全体的に平均年齢は上がりつつありますが、整形外科は低くなっています。
整形外科は男性と女性で平均年齢が二極化しています。男性は学生の方のスポーツによる怪我が多く、女性は高齢者の転倒による大腿骨などの骨折が要因と考えられます。
2020年度から2022年度の退院患者の手術件数です。
内科は内視鏡やカテーテルを中心とした低侵襲(体にかける負担が少ないとされている)治療を行っています。胃や大腸のポリープ、早期癌の内視鏡を使用した切除をはじめ、冠動脈(心臓の血管)の血流が損なわれている場合、ステント(拡張することができる網目状の小さな金属製の筒)を主に手首の動脈から挿入する手術を行っています。
外科は胸腔鏡や腹腔鏡などの体に大きな傷跡が残らないような手術を行っています。肺の手術では悪性腫瘍(がん)や気胸(肺に穴が開き空気が漏れている病気)といった治療を行っています。また、令和3年4月より乳腺外科に女性医師が着任し、受診が増えたためか、乳癌の手術も増加傾向となっています。その他、最近は胸水・腹水濾過濃縮再静注法という肝硬変やがんなどによって貯まった腹水(又は胸水)を濾過濃縮(ろかのうしゅく)して、アルブミンなどの有用なタンパク成分を回収する治療法も増えており、患者さんのQOL(生活の質)が低下しないような治療も行っています。
整形外科は、「肩」に加え、「膝」や「半月板」、「下肢」などの手術名が並んでいます。膝関節が変形した「変形性膝関節症」には人工膝関節の手術も行っていますが、関節温存の可能な「骨切り術」も積極的に行っています。四肢骨折観血的手術、骨切り術の場合、治癒期間を短くする目的で「超音波骨折治療法」を併せて行っています。
泌尿器科は主に手術用内視鏡を用いた手術を行っています。二番目に多い体外衝撃波腎・尿管結石破砕術とは、腎、尿管の結石が適応となり、衝撃波を使用し結石を破砕する治療方法です。メスを使わず無麻酔で行うため、入院期間は手術当日を含めて基本的に1泊2日となります。過活動膀胱による尿意切迫感を緩和するためのボツリヌス毒素による尿失禁手術も行っています。
2022年度に当院で行った内視鏡検査数および食道、胃に対する内視鏡治療の経年資料です。
上部内視鏡は胃カメラで、主に口から挿入し検査を行いますが、当院では鼻から挿入する方法も採用しています。鼻から挿入する場合に使用するのは直径5mmほどの小さな内視鏡で、通常の約半分の太さです。喉の反射が強く「おえっ」となる方にはご好評をいただいています(2022年度は新型コロナウイルスの流行により経鼻内視鏡は制限させていただいています)。自治体による検診が行われている6月から件数が多くなっています。
下部内視鏡には大腸全体を観察する全大腸内視鏡検査と、直腸とS状結腸のみを観察するS状結腸内視鏡検査があります。S状結腸内視鏡検査に食事制限は不要で、浣腸を行うだけで検査ができます。S状結腸内視鏡検査には、日本人の大腸がんの中でも発生率の高いS状結腸癌や直腸癌の死亡率減少効果を示す十分な証拠があるとされてています。また、検査中に小さなポリープが見つかった場合、内視鏡的に切除することができます。全大腸内視鏡検査のうち、約15~20%で内視鏡的ポリープ切除術が行われています。
ESDとは内視鏡粘膜下層剥離術の略で、がんなどの腫瘍を内視鏡的に切除する新しい治療法です。ガイドラインに沿って治療を行っており、その数は徐々に増加しています。手技も安定し合併症も少ない治療です。最近は胃や食道に加え大腸にも行っており、件数は増加傾向となっています。2022年度は11件の実績がありました。
消化器内科医は病理医とともに週1回、ESDを行った全症例について詳細な評価検討を行っており、診断および内視鏡診断能力向上に役立てています。
近隣の先生から精密検査や内視鏡治療目的の紹介も多くあります。
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部位 | 0 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | 該当なし | 不明 | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
食道 | 5 | 1 | 5 | 1 | 1 | 8 | 21 | |
胃 | 38 | 4 | 3 | 14 | 8 | 67 | ||
大腸 | 0 | 23 | 19 | 11 | 10 | 0 | 33 | 96 |
肝、胆管 | 0 | 7 | 7 | 3 | 5 | 0 | 7 | 29 |
膵 | 6 | 9 | 6 | 12 | 3 | 36 | ||
肺、気管支 | 1 | 37 | 3 | 10 | 6 | 2 | 26 | 85 |
乳房 | 13 | 38 | 25 | 5 | 2 | 29 | 112 | |
前立腺 | 26 | 11 | 5 | 8 | 3 | 53 | ||
腎、腎盂、 尿管、膀胱 |
16 | 17 | 12 | 5 | 2 | 0 | 17 | 69 |
その他 | 0 | 10 | 0 | 1 | 2 | 10 | 16 | 39 |
総計 | 35 | 203 | 95 | 50 | 62 | 20 | 142 | 607 |
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部位 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 総計 |
---|---|---|---|---|
食道 | 8 | 5 | 8 | 21 |
胃 | 22 | 26 | 19 | 67 |
大腸 | 31 | 25 | 40 | 96 |
肝、胆管 | 11 | 9 | 9 | 29 |
膵 | 19 | 8 | 9 | 36 |
肺、気管支 | 29 | 32 | 24 | 85 |
乳房 | 11 | 49 | 52 | 112 |
前立腺 | 10 | 20 | 23 | 53 |
腎、腎盂、 尿管、膀胱 |
21 | 28 | 20 | 69 |
その他 | 15 | 12 | 12 | 39 |
総計 | 177 | 214 | 216 | 607 |
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来院経路 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 総計 |
---|---|---|---|---|
がん検診 ・健康診断 ・人間ドック |
28 | 46 | 52 | 126 |
他疾患経過 観察中の 偶然発見 |
56 | 55 | 51 | 162 |
その他 (症状受診含む) |
64 | 56 | 82 | 202 |
不明 | 30 | 57 | 30 | 117 |
総計 | 178 | 214 | 215 | 607 |
2020年1月から2022年12月に当院で診断されたがんの状況です。当院以外で「がん」と診断された方も対象であるため、「不明」や他施設で初回治療を行った「該当なし」の件数が増加傾向となっています。
消化器、肺、泌尿器系のがんが多く、進行度の低いstageⅡ以下が半分近くを占めていますが、大腸がんや膵臓がん、肺がんなどはstageⅢやⅣのように進行したがんも少なくありません。
最も多いのは「乳がん」、次いで「大腸がん」、「肺がん」となります。どれも外科的治療が第一選択ですが、内視鏡など低侵襲(体にかける負担が少ないとされている)治療が可能な場合は手術を含めた適切な治療方法を患者さんとともに考えて提供させていただいています。
2021年より乳癌の患者数が増加傾向となっています。女性医師の専門医による診察が行われていることも一つの要因となります。
「大腸がん」は内視鏡的粘膜切除術(EMR)で切除が困難と診断された20mmを超えるがんも粘膜下層剥離術の導入により内視鏡治療件数が増えてきています。
肺癌は早期であれば手術治療を行いますが、転移や再発例の場合は患者さんに最善の治療を考え、十分話し合った上で治療を行っています。また、緩和治療にも取り組んでいます。
がんの診断を受けた受診理由として、「その他(症状受診含む)」が主流ですが、「がん検診・健康診断・人間ドック」がきっかけで発見される件数も年々増加となり、約4分の1となっています。どの受診理由もstageⅠがほとんどですが、「その他(症状受診含む)」の場合はstageⅢ以上の進行癌が一定数存在します。気になった場合は早めの受診をお勧めします。